11.25.06:57
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03.25.00:31
Black board and White paper
何を書くのか忘れてしまった教師は
チョークを握ったまま 黒板を見つめてしまう
一人の生徒の囁きに救われ そうだそうだと
照れ臭そうに 一文字目を書き始めたら
チョークは一気に 粉を噴きながら黒板を走った
頭じゃなくて身体で覚えていたんだな
いくら考えても出てこないはずだよ
粉がついた手を叩きながら 数歩後ろに下がる
黄ばんだ写真を見つめるように 黒板を眺める
生徒は必死にそれを写す
真っ白なページに黒い鉛筆で
覚えるように書いてゆく
私はツルツルの黒板に白いチョークで
思い出すように書いてゆく
同じ言葉を
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03.24.00:02
元素記号「Ir」
「イマ」という瞬間を
いったいどれくらい確かな紐で 結ぶことができるだろう
向かいの家の雨戸は毎朝6時に必ず開く
3日前に宣言されたダイエットがある
河原ですれ違う老人は
1週間後もラジオを流しているか
1週間後もラジオを流しているか
付き合い始めた恋人たちの3ヶ月後はどうだ
1年後 あの店の人気ナンバーワンメニューは
まだ学生たちの放課後のお腹を救っているか
まだ学生たちの放課後のお腹を救っているか
お気に入りのマグカップは
3年後の朝も 彼の口にコーヒーを運んでいるだろうか
3年後の朝も 彼の口にコーヒーを運んでいるだろうか
「僕ら」は 10年後も「僕ら」だろうか
約束は なぜ結ばれるのだろう
「絶対」という紐を使って 固く「約束」を結ぶ
疑いの風も吹かず 確信という無風の中 それは結ばれる
けれど 時間は ゆるやかに
やはり 確かに 解いていく
やはり 確かに 解いていく
紐の端を魚にくわえさせ 川に流す
だから海は 約束の紐が海藻みたいに揺れている
たとえば僕は
果たされなかった約束をすでに持っている
固く結んだはずの紐はいつの間にか消えていた
手のひらに残った約束は
汗でインクが滲んでしまってもう読めない
「僕ら」は「僕ら」でいられなかった
空の青さは秋になれば薄くなるし
たとえ夏が巡っても もう二度と同じ入道雲は作られない
それでも「僕」は「僕ら」であることを願うのだ
それはもう 小指を結ぶ「約束」ではなく
胸の前でゆっくり両手を握り合わせる
「祈り」
気体のように 目に見えなくて
大気中にいっぱい拡がっていく
人はそれを吸って 「イマ」を生き
未来に向かうのだ
03.23.00:09
洗面所
身体が硬い今日の 背中を押して明日へ伸ばそう
右手を上げたら 左手を上げる天の邪鬼さ
両手に溜めたお水をかけよう
おはよう
滴りを許す ほんのひと時
どんなに願っても あるとき止まってしまった身長で
のん気に伸びているヒゲを そっとさすってやる
大丈夫か 大丈夫
いけるか いける
両手で頬を叩いたら
僕はもう僕で どうしようもなく僕で
どこまでも僕で
明日も僕で
僕に
おはよう
03.22.00:12
say anything
最近の僕は
まとまっているより 散らばったくらいの方がいい
脱ぎ捨てた靴下に 昨夜の疲れが溜まっている
読みかけの雑誌に お気に入りの日曜日が載っている
飲み残したコーヒーに 苦い思い出が浮かんでいる
僕はそれを毎週月曜日の朝 流しに捨てる
トリスタン・プリティマンの「say anything」を流して
You can say anything