11.24.00:13
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03.24.00:02
元素記号「Ir」
「イマ」という瞬間を
いったいどれくらい確かな紐で 結ぶことができるだろう
向かいの家の雨戸は毎朝6時に必ず開く
3日前に宣言されたダイエットがある
河原ですれ違う老人は
1週間後もラジオを流しているか
1週間後もラジオを流しているか
付き合い始めた恋人たちの3ヶ月後はどうだ
1年後 あの店の人気ナンバーワンメニューは
まだ学生たちの放課後のお腹を救っているか
まだ学生たちの放課後のお腹を救っているか
お気に入りのマグカップは
3年後の朝も 彼の口にコーヒーを運んでいるだろうか
3年後の朝も 彼の口にコーヒーを運んでいるだろうか
「僕ら」は 10年後も「僕ら」だろうか
約束は なぜ結ばれるのだろう
「絶対」という紐を使って 固く「約束」を結ぶ
疑いの風も吹かず 確信という無風の中 それは結ばれる
けれど 時間は ゆるやかに
やはり 確かに 解いていく
やはり 確かに 解いていく
紐の端を魚にくわえさせ 川に流す
だから海は 約束の紐が海藻みたいに揺れている
たとえば僕は
果たされなかった約束をすでに持っている
固く結んだはずの紐はいつの間にか消えていた
手のひらに残った約束は
汗でインクが滲んでしまってもう読めない
「僕ら」は「僕ら」でいられなかった
空の青さは秋になれば薄くなるし
たとえ夏が巡っても もう二度と同じ入道雲は作られない
それでも「僕」は「僕ら」であることを願うのだ
それはもう 小指を結ぶ「約束」ではなく
胸の前でゆっくり両手を握り合わせる
「祈り」
気体のように 目に見えなくて
大気中にいっぱい拡がっていく
人はそれを吸って 「イマ」を生き
未来に向かうのだ
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