11.25.02:36
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04.04.00:00
虹
大きなアーチを描いて 街と街を結んでゆく橋
大きなマンションが現れて 道ゆく人が思うこと
前に何があったっけ
色褪せる暇もなく カラフルに忘れちゃう
高校生がダンスを踊って 駅のホームで笑っている
傘を振ったサラリーマン 苦手なアイアンの練習をしている
同じ電車に乗り込んで
時代をすれ違いながら パラレルに交わっちゃう
全身を刺していった 太い槍の雨
僕はびしょ濡れになって
涙なのか 汗なのか
わからないまま しょっぱい
虹がかかる前に 見上げてしまう
探しものがなかなか見つからなくて
虹が消えてから 見上げてしまう
探しものがなかなか見つからなくて
大きな声で 空をめがけて 人差し指
道しるべみたい
君はオフィス街の真ん中で 僕は机の片隅で
君は悲しみの真ん中で 僕は夢の途中で
いっせいに見上げながら 涙で滲んだ
虹が見えた
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04.03.00:00
ゲシュタルト崩壊
僕に見えているのは
「君」という「カタマリ」
でも本当は
「誰かを想う優しさ」
「夢中になってしまう瞳」
「甲高く笑う声」
「凝ってしまう背中」
「短気なところ」
1つ1つの「要素」が集まって
「君」は構成されている
「君」は構成されている
その「1つの要素」だけを見つめ続けてしまうと
ときに「君」という「カタマリ」は分解していって
もう僕の知らない人になってしまう
ケンカの時って
そんなゲシュタルト崩壊みたいなもんじゃないか
04.02.00:00
スーパーマンじゃないんだぞ
いつも聞いてよって言うけどさ
スーパーマーケットじゃないんだぞ
肉は肉屋 魚は魚屋 俺は俺だ
いつも一緒がいいって言うけどさ
スーパー銭湯じゃないんだぞ
プールは水着 お風呂は裸 俺は男湯だ
決められたレールの上を歩くのは嫌がるくせに
真っ白な紙に自由に絵を描けと言われたら
何を描いたらいいかわからないってさ
きっと自分が決めたように
人に決めてもらいたいんだろ
大丈夫 なんとかなる
ずいぶん簡単に言ってくれるな
スーパーマンじゃないんだぞ
身体は1つで 心も1つで 俺は1人だ
そしてまた
お前という人間も1人だ
なんとかなるんじゃない
なんとかするんだ
04.01.00:00
1988年の一歩
幼い頃の僕は
カブトムシが好みそうな雑木林を探検するのが好きで
湿った枯葉が敷き詰められた地面を踏みしめては
「この場所を最後に踏んだのは
僕の前には誰だったんだろう」
なんて
20センチにも満たない小さなマジックテープ式の
スポーツシューズを 眺めてしまったものさ
「もしかしたら人類で初めて僕が
この場所を踏んでいるんじゃないか」
なんて
こんがりと日焼けした真っ黒な顔を硬直させて
汗だけは止められずに 思ってしまったものさ
アームストロング船長も
きっとこんな気持ちだったに違いない
僕は次の一歩を踏み出せないまま
ひたすらセミたちの大歓声を浴び続けた
ひたすらセミたちの大歓声を浴び続けた
1988年のことだ