11.24.19:50
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07.16.14:39
飛ぶ教室★★★
どうして大人は子ども時代のことを
すっかり忘れてしまうのだろう
子どもというものは時にひどく悲しく
不幸になってしまうということを
決して忘れてほしくない
エーリヒ・ケストナー
個人的にこういったテーマの映画には目がない。
子どもを通して、大人の自分を振り返る。
観たあとに何とも優しい気持ちになれる。
舞台はライプチヒ。
過去6回も寄宿学校を逃げ出したヨナタンは、少年合唱団で有名な学校の寄宿舎に入ることになる。
映画自体ではヨナタンの心の闇がどこにあるのかは明らかにはされていないが、ルームメイト達と意気投合し、大人と友情を築き、最後は心に希望が灯される。
面白かったのはルームメイト達との友情を深めて行くプロセス。
学校の生徒は「寄宿組」と「通学組」とに大きく分かれる。
「寄宿組」は親がお金持ちの子が多いが、その実、愛情に飢えている。
一方の「通学組」は親と一緒に暮らしてはいるものの、やはり愛情に飢えている。
この2つの勢力の争いで、物語序盤は「寄宿組」の結束が固くなってゆく。
後半は「大人達(先生)」とのかかわりが強くなってゆく。
ヨナタン達は秘密の隠れ家で「飛ぶ教室」と書かれた古い芝居の台本を手に入れる。
クリスマスの劇発表で上演しようとしていたところ、信頼を寄せていたベク先生に猛反対を喰らう。
そこにはかつてベルリンの壁の向う側にいってしまった親友との深い想い出があったのだ。
クライマックスでは、「寄宿組」「通学組」が力を合わせ、大人達に一矢を報いる。
この部分がファミリー向けに観れるひとつのエレメントになっていると思う。
原作を読んでいないので、なんともいえないけど、各キャラはとても魅力的な一方、バックボーンが描き切れていない印象。主人公のヨナタンに関しても「孤児で、養父が船長だからなかなか会えなくて淋しい」といった情報だけで、最初と最後で何がどのように成長したかは明確ではない。
ルームメイトの友情物語を丁寧に描きすぎたのか、後半キーマンとなる先生とその親友の明かされる真実にそこまで胸が高鳴らない。できれば、前半部分で先生の過去に対する複雑な想いを入れてほしかったところ。
ということで★勝手に3つ!
この物語の原作はエーリヒ・ケストナーの、ドイツを代表する児童文学の名作小説…らしい。
…ので、現代版にアレンジするにあたっての妥協点などがあったのかもしれない。
でも、個人的にはこういう子どもたちが活躍する映画は好きです。
あと、音楽もとてもいいので、金曜の夜とかに見ることをオススメします。
きっといい気持ちで寝れる!
07.14.08:46
フリーダム・ライターズ★★★★
昨日までの涙が、インクになる。
それは、一人の新米教師と、
一冊のノートが起こした
奇跡の実話。
変化に乾杯!
その変化とは
「君たちにはムリだ」という声が
永遠に消えてなくなるという変化。
「社会は変わらない」とする理屈が消滅する変化。
「今までの君たちが変わる」という変化。
映画『フリーダム・ライターズ』の一節だ。
1994年、ロス暴動で人種対立が激しくなり、街中はドラッグ、銃などがはびこる。
そこでは肌の違う誰かを殺し、仲間を守るためにウソをつく。
そんな戦場で生きる15歳の子ども達は、遠い未来よりも明日の命しか見ることができなかった。
そんな彼らの高校に、主人公エリンが新米教師として赴任する。
荒れ果てた生徒―
生徒を見捨てる教師―
ある日、エリンは全員に一冊ずつノートを配ることを思いつく。
自分達の本当の心を綴るようにと言う。
やがて、彼らの秘めた悲しみは仲間同士の理解を生み、結束を生み出してゆく。
最も感動をしたのは、生徒達自らが「変わりたい」と望み出したこと。
望んでもいいのだと、未来を見てもいいのだと、気付いたこと。
自らが望み、自らが行動を起こし、自らが実現していく。
生きてもいいんだ。
こんな自分でも生きてもいいんだと、203教室(ここ)で思えたこと。
私たちはみんな普通の人間。
でもね、
会社の秘書でも家庭の主婦でも十代の若者でも
それなりのささやかな力で
希望の光をともせるの。
この暗い世界に。
その人が何に悩んでいるのか、何に喜んでいるのか、何に情熱を傾けているのか…
きっと僕らは知らないんです。
だから、文章にして発表してみると、たくさんのことに気付かされる。
「こんなこと考えてる人だったんだ」
「結構真面目じゃん!」
「うっわ!超文才あるし!」とか(笑)
隣にいる誰かのことをもっと知ってみる。理解してみる。
苦手だった奴とも、「なんだ、同じことで悩んでんじゃん!」って笑い合えるかも。
11.30.00:27
『落下の王国』(THE FALL)
タイトル: 落下の王国 (THE FALL)
監督:ターセム
脚本:ダン・ギルロイ/ニコ・ソウルタナキス/ターセム
音楽:クリシュナ・レヴィ 衣装:石岡瑛子
出演: リー・ペイス/カティンカ・アンタルー
ジャスティン・ワデル 他
上映時間: 118分
製作年/国: 2006/アメリカ
配給: ムービーアイ・エンタテインメント
驚くくらいの映像美!当初、前作『ザ・セル』のようにCGをふんだんに使用している映画かと思って観てみたら、CGは一切使っていないのだとか!信じられません。構想26年、13の世界遺産、24ヶ国以上でロケーション撮影され期間4年を費やして製作。
この映画は病院の一室で怪我を負った男が、少女に冒険物語を話していくことで進んでいくのですが、このファンタジーの世界にCGなしで僕らを連れて行ってくれるのは他でもなく、衣装の力です。衣装担当の石岡瑛子さんは第38回カンヌ国際映画祭で芸術貢献賞、第65回アカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞しているすご腕!思わず僕もスケッチをしてしまいました。
ただ、正直感想としてはイマイチという方も多いようです。冒険の中にせっかく入っていっても、それらしいアクションシーンはあっても、おとぎ話に出て来るキャラクターの背景や、ストーリー自体が薄く感じました。
他、個人的に気に入った点は子役の少女のナチュラルな演技。ちょいぽっちゃりで、最初はそんなかわいく見えないのですが、隙っ歯と愛らしい笑顔、そしてひとつひとつの仕草と声が実にいい!
休日の午前中に紅茶でも飲みながらリラックスして観るのをオススメします!