11.24.22:08
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04.14.00:00
4月生まれと3月生まれ
4月生まれの君の背中は眩しくて
3月生まれの僕はいつも影みたいにくっついていた
通学路を外れるのが好きで
大きなランドセル揺らして
振り回す木の棒 蹴飛ばす石ころ
最後はいつもの公園 そこが僕らのすべてだった
大きなランドセル揺らして
振り回す木の棒 蹴飛ばす石ころ
最後はいつもの公園 そこが僕らのすべてだった
僕の初めてはいつも君と
部屋の中じゃ聴こえなかった虫たちの声が
季節の中に響き渡ってゆく
僕らが呼んでいた 神様の木
君は慣れた手つきで登るのが上手で
初めて登った僕はやっぱりヘタクソで
降りられなくなってシクシク泣いてしまった
世界で戦う君の背中は逞しくて
僕はささやかなペンだこに静かに誓いを立てた
誰も知らない苦しみ
ベンチの下に灰を落としてゆく
すれ違いながら入れ替わりながら座っていたこと
最後はいつもの公園 僕も君も知っていた
大切なことはすべて君と
どこかで一人になっても一人じゃないこと
描いたイメージをはみ出したっていいんだよ
僕らが作り上げた 昆虫マップ
湿った雑木林の堆肥をかき分けた
見つけたものはなんだっけ
ミーンミンミン 君のことしか思い出せない
気づくと大人になっていたように
気づくと戻れなくなっている
宛先不明の葉書のように
何度出してもどこにも届かなくて
どこにも行けない気持ちがここにある
握りしめたままいくつも朝を迎えて
どこにも行けない気持ちは
どこにも行っては行けない気持ちなのだと気づく
ゼロにしてやり直すのではない
すべてを背負って新しく始めればいい
4月生まれの君は新しいことを始めるのが得意で
3月生まれの僕は いつも新しく勇気を湧かす
どこにも行けない気持ちは
どこにも行っては行けない気持ちなのだと気づく
ゼロにしてやり直すのではない
すべてを背負って新しく始めればいい
4月生まれの君は新しいことを始めるのが得意で
3月生まれの僕は いつも新しく勇気を湧かす
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04.13.00:00
朝方のシャワー
朝方のシャワーは
頭を下げれば
昨夜の疲れを流してくれるようで
見上げれば
今朝の僕を新しくしてくれるようで
僕は視覚を閉じて 何かを開く
僕の頭は
誰かに洗ってもらった方が 気持ちがよくて
どんなに真似てみても うまくいかなかった
一人じゃ感じられないものが
こんなところにある
きっとあれもこれもそうだ
04.12.00:00
幸せのレシピ
今も昔も 僕らは地球の鍋で
作り方がわからない料理を試している
道路を走る車は未来の形になったかな
電車の車窓に映る表情は
昔の人が願ったように柔らかいかな
パラパラパラパラ 今日もどこかで
「幸せのレシピ」をめくる音
あの頃の君は まだ生えたばかりの羽を
必死にはためかせて
僕が行き先を尋ねると 答える間も惜しむように
白くまだ軟らかい羽を激しくはためかせた
僕は夏のカーテンのように君にめくられて
誰かの昼寝をそよいだ
6畳半に灯ったオレンジの光
折りたたみテーブルにかじりついたカブトムシ
完成した頭のイメージを スケッチブックに描いては
零してしまった微笑みを 慌てて拭いて
明日に向かって飛んでゆく
僕は夏のひまわりのように君に揺られて
誰かの瞳で思い出になった
6時半に灯ったオレンジの光
メタリックキッチンに向かうコックコート
何度も鍋をかき回しては 何度も焦がしてしまう
溢してしまった悔しさを 慌てて拭いて
明日に向かって飛んでゆく
僕は夏の風鈴のように君に鳴らされて
誰かの耳で歌になった
明日のどこかで風がめくる 幸せのレシピ
パラパラじゃなくてバサバサと鳴る
04.11.00:00
はなむけの言葉
まるで、ゴール前で最後のパスを
チームメイトに送るサッカー選手のように、
チームメイトに送るサッカー選手のように、
絶対的な信頼を寄せる音で彼を呼んでいる。
その音は、共に乗り越えてきた、
たくさんの光景で鳴らされている。
たくさんの光景で鳴らされている。
いくつの朝を一緒に迎えたか、もう数えられない。
ひとつひとつ、本気だった。
みんな、泣いた。
愛されたいと望むなら、
まずは自分が人を愛すことだ。
まずは自分が人を愛すことだ。
裸になってほしいと望むなら、
まずは自分が服を脱ぐことだ。
信頼してほしいなら、
まずは自分が人を信じることだ。
愛してフラれることも、裸を笑われることも、
人を信じすぎて損をすることも多かっただろう。
それでも俺たちは、
「人を愛す人であろう」
と思ったはずだ。
今、惜別の言葉はない。
俺たちは、大切なことのほとんどを、
言葉にして届け合ってきたからだ。
そして、言葉を言葉で終わらせずに、
体験を通して刻んできた。
それが、「時間」というものだ。
さよならじゃない。
このさざ波のような一瞬を、みんなといれる一瞬を、
輝かせてくれた感謝しかない。
愛してくれてありがとう。
愛してくれてありがとう。
愛してくれてありがとう。
04.10.00:00
12歳の恋
絵に描いたような桜舞う入学式
僕は体育館で 不安と期待の空気を吸う
背が低い僕には 見えづらいものばかり
肩と肩の間から かかとを上げた景色が残る
いつも廊下に響き渡る大きな声
ショートで元気で色黒で みんなのチャイム
君はその昔フランスを救った少女のように
誰よりも可憐で 誰よりも一途で
多くの僕たちを救った
汗を掻くことを厭わず
人のために怒り 人のために涙する人
君が雨に濡れているときは
いつも誰かが隣で傘を開いた
僕は傘で顔を隠したまま 一人そこを通り過ぎた
僕は傘で顔を隠したまま 一人そこを通り過ぎた
恋は夏の日差しに焦がされて
何度日焼け止めを塗っても焼けてしまって
塗り忘れた首の後ろが痛くて 赤くなってヒリヒリして
やがて恋は放課後になって 影しか見えなくなって
最後は僕も夕日も途方に暮れてしまった
よくイヤホンをして 聴いていた歌
君の日々に まだその歌は流れているだろうか
長くなった髪は キッチンでポップに揺れているかな
あの頃 何度も ひとり唱えた魔法
眠れない夜に 祈るように唱えた魔法
もしも今日 空が晴れているのなら
僕の魔法は ちゃんと効いていたみたい