11.22.02:23
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03.10.04:54
いつか、つながることは「知っている」
2015年2月14日(日)は、旧友の結婚式だった。
彼女とは小学校5年生から、20年来の友だちだ。
特別な友だちだ。
帰国子女だった彼女だったけど、幼い頃の僕は、彼女の語学の才能にはあまり興味関心はなかったように思う。ただ、「明るい(うるさい)女子」という印象。その持ち前の明るさで、転校生だった彼女は実にたくさんの友だちを作っていった。もちろん、その裏には、彼女なりの悩みや、苦労も多分にあったと思うのだけれど、それを感じさせない強さが、彼女にはあった。
いつの間にか、男女グループの中に僕も彼女もいて、僕のコアの時間の中には、常に彼女の存在があった。
中学校に上がると、小学校の仲間との関係も薄くなっていった一方、彼女だけはクラスも同じ、席も隣になることが多く、実際、中学校時代のあまり知られていない僕の横顔を、一番多く見ていたのは彼女に違いない。
やさしい人といると、やさしくなるように、
彼女といると、他人のことを自分のことのように思える自分になれる。
高校に上がると、彼女との距離は一気に縮まっていく。
同窓会をきっかけに、小学校のクラスの仲間が頻繁に集まるようになったことに加えて、彼女が僕の家の近所に引っ越してきたこともあり、夜な夜な会っては、互いの恋愛相談をしていたような気がする。
彼女の一番の魅力は、「人のことを、自分のことのように感じることのできる心」だ。
僕の恋愛は、とにかく一途で、不変の片想いだった。他人からすれば、融通の利かない単なる初恋の退屈話だったに違いない。それでも、彼女は僕の進展のない恋愛話を、自分のことのように聞いてくれた。それに呼応するように、僕も彼女の恋愛話に耳を傾けた。
やさしい人といると、やさしくなるように、
彼女といると、他人のことを自分のことのように思える自分になれる。
僕らのグループは思い出を重ねた。
勝浦への旅行、花火、成人式、祭り・・・
特別なイベントを並べるよりも、圧倒的に日常で会うことの方が多かった。
それは多くの人が想像するような、小学校時代の友達との関係では決してない。
思い出話を重ねるのではなく、新しい思い出をどんどん作る、現在進行形の友だちだ。泣きじゃくるようなケンカも、夜通し話し合いをしたことも、両手じゃ収まらない。それでも、盤石な歴史に裏付けられていた僕らの友情が切れることはなかった。
そこに最初に距離を置いたのが、僕だった。
2005年の夏だ。
大学での出会いと経験が、僕の価値観を激しく変えていった。
「衝突」というより、「噛み合わない」といったことが多くなった。
冷静な僕にとって、直情的な彼女が、いつもその筆頭に躍り出た。
「今の僕の居場所はここじゃない」そんなふうに思えた。
大学での経験は、仲間のために魂を燃やす時間だった。互いに厳しさを与えながら、絶妙の思いやりを持って、走る。そこには短い時間で築き上げる「信頼」が必要だった。
それは、長い時間が自然と築き上げていた「信頼」の種類とは違うものだったように思う。
いつか、つながることは「知っている」
結局、これが解決した明確な時期はない。
20代後半の成長、「寛容」が、僕らの関係をアップデートしてくれたように感じる。
小学校の延長で関係を保てたのは、高校までで、それ以降の僕らの人格形成は非常に多種多様だ。30代まで関係性を保てるグループは希少だ。
曲がりなりに、ぶつかりながら、もがきながら。
うん、そう。
がむしゃらに、泣きながら、もう嫌だって思いながら。
それでも一緒にいる意味ってあるのかなって、何回も思いながら。
自分の居場所を探しながら。
旅に出ては、戻り。
不恰好に重なり合って。
格好悪い自分に嫌気を差しながら。
何度も夜の帰り道を歩いて。
何度も集まり。
泣いて、笑って。
今も、泣いて、笑って。
僕らは、今の僕らの形になった。
分かり合えない時間があってもいい。むしろ、分かり合えないことの方が多い。
つながらない時間があってもいい。それぞれの旅をすればいい。
いつか、つながることは「知っている」。
それで十分だ。
彼女は、結婚をしてフランスに行く。
ドアを出て3分の距離じゃない。
淋しさとか、切なさとか、心配とか、いろいろあるけど。
いつか、つながることは「知っている」。
2015年2月14日(土)。
新郎の家族と会うと、いろんなことが吹き飛んでいった。
彼女がフランスでたくさん笑っている姿が想像できた。きっと大変なこともある。
でも、持ち前の明るい(うるさい)性格で、たくさんの人たちと笑い合うに違いない。そして、彼がいれば大丈夫。そんな確信めいたものがあった。
本当に、おめでとう。
あらゆる意味で、特別な友だちへ。
01.25.16:07
『あたたかい雪』が【準入選】受賞
「アフタヌーン・四季賞・2011年冬のコンテスト」
『あたたかい雪』【準入選】受賞
三輪亮介『あたたかい雪』
「The Ropes~平成の常盤荘~ 2/5 Vol.8」収録
2012年1月25日(水)発売の「アフタヌーン3月号」(講談社)に、例によってワンカットですが、載ることができました。それもこれも、応援してくださった皆様方のお陰だと思っています。本当にありがとうございます。
(2012年1月25日発売「アフタヌーン3月号」(講談社)129ページより)
この作品は、僕の小学校時代の記憶をモチーフに描き進めていた、4部作、「いつか僕らがグレーになる頃に」の最終章となっています。登場人物達も然ることながら、場所、エピソードなど、個人的な想い出をたくさん詰め込みました。その分、「for us(僕らのため)」と「for you(読者さんのため)」のバランスを取るのに苦労した気がします。もしかしたら、評価対象にもならないかもしれないと思っていた分、今回の受賞は「あの頃の僕ら」が認められた気がして、すごくうれしく思っています。
でも、他の受賞作家さんのコメントを見ていると、皆一様に、魂を込めて作品を作っているのだと、改めて気付かされました。何も僕だけじゃない。みんな“本気(マヂ)”で生きているんだなぁって。
慢心せず、今度は誌面にて、「for you」全開の作品を、皆さんのもとにお届けできたらと思いますので、これからもよろしくお願いします!
08.22.23:02
COMITIA97終了!
(COMITIA97、開場前のブースにて)
8月21日(日)はCOMITIA97のイベントでした。
雨のせいか、いつもよりお客さんも少なかったように思えました。
ちょうど僕らのサークルは、今回でちょうど祝・2周年。
うれしかったのは、以前寄ってくれたお客さんで、そのときはご購入まで頂けなかったのですが、今回改めてご購入頂けたことだったり、常連のお客さんが少し増えてきたり、出版社の方々にうれしいお言葉をかけて頂いたり…。とにかく、感謝、感謝!新刊売上も、少しですが過去の記録を更新しました。
少しは成長できているのかな。
あ、今回からポスタースタンドを用意したので、キレイにポスターを飾れたのもうれしかったなぁ~。
関連記事
・COMITIA97告知
07.30.16:23
アシスタント!?
両国で合宿。。。
4日前から、両国にある鈴木よみし(The Ropesメンバー)宅にいます。
次回のCOMITIAに出す鈴木さんの原稿が終わらないからですね(笑)
通常、僕は30ページ前後の作品を、約1ヶ月かけて制作します。今回は、26ページを1週間で完成させます。4倍のスピードが求められます。マジか・・・。半端ない!
で、現状とは言うと・・・
奇跡的にノルマをこなしています。鈴木さんが「人物」を、僕が「背景」と「仕上げ」を担当しています。鈴木さんの絵柄と僕の絵柄は、画像を見ていただければわかる通り、だいぶかけ離れているのですが、なんとか、僕なりに頑張って合わせているつもりです。いかがでしょう。
鈴木よみしとコラボ
実は、大学時代から鈴木さんとは、一緒に絵を描いた経験が何度もあります。特に大学時代かな。
マンガ作品のみならず、演劇の舞台背景などを手伝ってもらっていました。僕がアシスタントを求めるとき、彼しか頭に浮かびませんでした。それは彼のデッサン能力が、自分と同レベル以上だと認めているからです。だから、相談できるし、ブラッシュアップが可能になる。
カレーとカレーと、カレー
とはいえ、男同士で寝食を共にしていると、生活が乱れて仕方ありません。特に食事。僕も彼も制作に入ると、食事なんかほぼ取らなくても大丈夫なんですが、メニューが偏る。ちなみに、現在、4日目にして、カレーしか食べていません!!豚肉君は2日目から姿を見せなくなり、3日目にはニンジン君がいなくなりました。現在、ジャガイモ君の独壇場です。
まあ、いんだけど。カレー好きだし。ただ、身体が心配で、心配で。これが終わったら、しばらくカレーはいいかな〜。
そんな両国での暮らしぶりでした。
07.11.21:04
COMITIA97告知
2011年8月21日(日)
東京ビックサイトにてThe Ropesの新刊を発行致します。
イベント名:COMITIA97
日時:2011年8月21日(日)11:00~16:00
場所:東京ビックサイト東5・6ホール
団体名:The Ropes~平成の常盤荘~
スペース:う‐01b
新刊:『The Ropes~平成の常盤荘~ 2/4 Vol.8』(¥500)
読み切り2作品の全76ページ
―収録作品―
三輪亮介『あたたかい雪』
鈴木よみし『こおりのこまち』
コンセプト短編集
図らずとも、「雪」をモチーフにした、コンセプト短編集になりました。
全4章からなる、「いつか僕らがグレーになる頃に」もついに最終章!青の章 『BLUE・BLUE・BLUE』、黄の章『ひまわり』、赤の章『Heart's Knock』、3つの物語が本作によって、ひとつに繋がっていきます。
一方、鈴木よみしが描くのは、冷えきってしまった思い出を抱く一人の少年。奇しくもそれを溶かすのは、雪女と呼ばれる不思議な女性。
同時期に、互いに相談しながら作った分、別々の作品というよりは、2作品とも2人の気持ちがとても入っている作品になったのではないでしょうか。
季節外れの「雪」の物語。是非、ご期待ください。
ひとつの終焉
2周年を迎え、「The Ropes~平成の常盤荘~」の活動は、今回で一つの終焉を迎えます。
もともと、メールアドレスにもあるように、「2011」というのが僕らの一つの目安でした。2年間の活動の中で、マンガというものに再度本気で向き合い、プロへの足がかりを作ること。各々見えてきたものは違いますが、僕自身は次のステージに進んで行こうと思っています。
とはいえ、これで解散というわけではなく、メンバーが描き続ける限り、新刊は発行し続ける予定ですので、これからも「The Ropes」を宜しくお願い申し上げます<m(__)m>
作品概要はこちら↓↓
いつか僕らがグレーになる頃に
白の章『あたたかい雪』
『こおりのこまち』