04.18.18:43
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04.11.00:00
はなむけの言葉
まるで、ゴール前で最後のパスを
チームメイトに送るサッカー選手のように、
チームメイトに送るサッカー選手のように、
絶対的な信頼を寄せる音で彼を呼んでいる。
その音は、共に乗り越えてきた、
たくさんの光景で鳴らされている。
たくさんの光景で鳴らされている。
いくつの朝を一緒に迎えたか、もう数えられない。
ひとつひとつ、本気だった。
みんな、泣いた。
愛されたいと望むなら、
まずは自分が人を愛すことだ。
まずは自分が人を愛すことだ。
裸になってほしいと望むなら、
まずは自分が服を脱ぐことだ。
信頼してほしいなら、
まずは自分が人を信じることだ。
愛してフラれることも、裸を笑われることも、
人を信じすぎて損をすることも多かっただろう。
それでも俺たちは、
「人を愛す人であろう」
と思ったはずだ。
今、惜別の言葉はない。
俺たちは、大切なことのほとんどを、
言葉にして届け合ってきたからだ。
そして、言葉を言葉で終わらせずに、
体験を通して刻んできた。
それが、「時間」というものだ。
さよならじゃない。
このさざ波のような一瞬を、みんなといれる一瞬を、
輝かせてくれた感謝しかない。
愛してくれてありがとう。
愛してくれてありがとう。
愛してくれてありがとう。
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04.10.00:00
12歳の恋
絵に描いたような桜舞う入学式
僕は体育館で 不安と期待の空気を吸う
背が低い僕には 見えづらいものばかり
肩と肩の間から かかとを上げた景色が残る
いつも廊下に響き渡る大きな声
ショートで元気で色黒で みんなのチャイム
君はその昔フランスを救った少女のように
誰よりも可憐で 誰よりも一途で
多くの僕たちを救った
汗を掻くことを厭わず
人のために怒り 人のために涙する人
君が雨に濡れているときは
いつも誰かが隣で傘を開いた
僕は傘で顔を隠したまま 一人そこを通り過ぎた
僕は傘で顔を隠したまま 一人そこを通り過ぎた
恋は夏の日差しに焦がされて
何度日焼け止めを塗っても焼けてしまって
塗り忘れた首の後ろが痛くて 赤くなってヒリヒリして
やがて恋は放課後になって 影しか見えなくなって
最後は僕も夕日も途方に暮れてしまった
よくイヤホンをして 聴いていた歌
君の日々に まだその歌は流れているだろうか
長くなった髪は キッチンでポップに揺れているかな
あの頃 何度も ひとり唱えた魔法
眠れない夜に 祈るように唱えた魔法
もしも今日 空が晴れているのなら
僕の魔法は ちゃんと効いていたみたい
04.09.00:00
くれいジィ
お前がジジイになった時
孫に何を語れるか
想像してみろ
「大学を留年した話」
理由もなく留年をした話
サークルに燃えすぎて留年したバカ話
どっちが面白い?
「気になる子がいた話」
何もせず何も起こらなかった話
声をかけて公衆の面前でフラれた話
どっちが面白い?
「何もしなかった話」が一番退屈じゃないか
「夢の話」
苦しくて夢をあきらめた話
苦しくても夢を追い続けた話
どっちも面白いだろ?
「何かをした話」をできるように
孫「俺のじいちゃん面白かったんだぜ!」
くれいジィになろうぜ
04.08.00:00
春を待つように
僕はキリンの首になって
春を待つように あなたを待った
初めて降り立つ街は 着替えたように暖かい空気で
駅前にある木目調の古い喫茶店からは
焼いたパンの香りとコーヒーを挽く音がした
新聞を広げながらカプチーノ
知らない人が窓際で朝を始めている
信号待ちの横断歩道では
真新しいスーツや少し大きめの制服が
緊張でシワも作れずにシャンと並んで
まるでマラソン大会前のスタート地点のようだった
春は新しく人々の足並みを揃え
スタート地点に並ぶ僕たちは
この道のどこかで出会うであろう
未来の友だち 未来の恋人 未来の自分を
不安と期待で信号のようにかわりばんこに想った
今日を越えたどこかで
あなたに出会えるだろうか
青に変わると
合図のように桜が舞い
合わせたように 黄色いランドセルが揺れてゆく
何もないところで全力疾走
怖いもの知らずと勇気の違いが
まだ子どもたちの間では区別がない
一方スーツを着た大人たちは
かなりの速さで歩くものの
決して全力で走ることはなかった
戦いが今日だけでなく
この先もずっと続くことをもう知っているからだ
今日を越えたどこかで
あなたに出会えるだろうか
僕はキリンの首になって
春を待つように あなたを待った
04.07.00:00
投影図
その建物は空から眺めていると
丸い形をしていて
僕は円柱のようなビルを想像していました
でも
いざ地上に下りて正面に立ってみると
三角の形をしていて
円錐のようなビルだったのです
僕は戸惑いながらも
入口の警備の人に会釈をして
鋭い自動ドアに吸い込まれていきました
中に入ってもっと驚いたことは
そのビルは階段もエレベーターも何もなくて
てっぺんまで何もない
ただの吹き抜けの伽藍堂だったのです
呆然と立ち尽くしていると
先ほどの警備員が
ただっ広いフロアーの真ん中を指さしました
そこには螺旋階段が下に続いていました
なんと この建物は地下に伸びていたのです
僕は外からじゃ見ることができない
この建物の本当の姿を
これから目にすることになるかと思うと
ドキドキしていました
なんの話かって?
人の話さ