11.23.11:35
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04.08.00:00
春を待つように
僕はキリンの首になって
春を待つように あなたを待った
初めて降り立つ街は 着替えたように暖かい空気で
駅前にある木目調の古い喫茶店からは
焼いたパンの香りとコーヒーを挽く音がした
新聞を広げながらカプチーノ
知らない人が窓際で朝を始めている
信号待ちの横断歩道では
真新しいスーツや少し大きめの制服が
緊張でシワも作れずにシャンと並んで
まるでマラソン大会前のスタート地点のようだった
春は新しく人々の足並みを揃え
スタート地点に並ぶ僕たちは
この道のどこかで出会うであろう
未来の友だち 未来の恋人 未来の自分を
不安と期待で信号のようにかわりばんこに想った
今日を越えたどこかで
あなたに出会えるだろうか
青に変わると
合図のように桜が舞い
合わせたように 黄色いランドセルが揺れてゆく
何もないところで全力疾走
怖いもの知らずと勇気の違いが
まだ子どもたちの間では区別がない
一方スーツを着た大人たちは
かなりの速さで歩くものの
決して全力で走ることはなかった
戦いが今日だけでなく
この先もずっと続くことをもう知っているからだ
今日を越えたどこかで
あなたに出会えるだろうか
僕はキリンの首になって
春を待つように あなたを待った
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