11.24.09:40
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03.28.00:28
私が見つける星
私は 私を決めてこなかった
苦手だった漢文の試験問題のように
消去法で残った番号を選んで来ただけ
今 クラス替えを繰り返す教室から
初めて外の世界に飛び出したときに
名札を外された私は 私を人に説明できなかった
役がないのに現場に迷い込んでしまった役者のように
うろうろとあたりを歩き回るしかなかった
そして何より私を一番驚かせたのは
私の小さい身体なんか一瞬にして飲み込んでしまうほどの
無数の光で埋め尽くされた圧倒的な星空だった
無限にも思えるその星々から
私は私の星を選び そこに向かうことなど到底不可能に思えた
息をするのも忘れて途方に暮れてしまった
と同時に
1つを選び そこへ向かって泳いでいく人々に
長い間 見とれてしまった
必死に泳ぐ不恰好な後ろ姿を
1つも笑うことなく 真剣な眼差しで見送った
なぜ迷うことなくあんなにまっすぐ進めるのだろう
私は私の隣で 私と同じように
星を選んでいるであろう男性に目をやった
違うのだ
星を眺めているのではなかった
空を仰いで 目を瞑っているのだ
自分を眺めているのだ
私も目を瞑ってみる
私は何がしたいのだろう
初めて自分に聞いてみる
何度も自分に聞いてみる
何度も何度も聞いてみる
何度も何度も聞いてみる
まぶたの裏が熱くなって来る
どうしてこんなに涙が出るんだろう
声を出すことなく 静かにたっぷりと流した
春の夜風が すうすうと乾かしてゆく
時は経つのではく満ちていった
そして ゆっくりと 目を開けた
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