11.22.09:53
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11.14.03:20
北風は運べない
「一雨ごとに気温は下がってゆくでしょう」
今朝の天気予報を思い出しながら
ハンドルに顎を乗せて空を見上げる
冬に向かってゆく北風の冷たさは
何も終わっていないのに終わりに向かってしまう
「切なさ」を持っている
すべてをピューピューと運んでしまうのに
すべては運んでくれないのだ
それは中高生の受験期によく似ている
季節を運び 人を運び 時代を運ぶ
だがしかし北風は
僕の気持ちだけは
どこにも運んではくれなかったのだ
思えば「片想い」とはそういうものだった
どこにも運ばれることもない
どこにも転がることもない
決して動かないもの
世の中が一斉に年を跨いで行く中
弟が新しい凧を空に飛ばす中
僕は僕のまま年を越えるのだ
肩を叩くように水滴が窓を小さく叩いた
国道沿いを歩く学生達
傘をさす者 慌てて自転車の速度を上げる者
僕はワイパーを振りながら仕事場へ向かう
僕らはどこかへ運ばれるようで
きっとどこにも運ばれない気持ちを持っている
もうすぐ北風が強くなる
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