11.22.20:07
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08.16.00:59
じいちゃん
(撮影:群馬県亀里町2011.08.15)
景色はまだ変わらない。
若い稲たちは、互いの背を揃えて生きている。
風に吹かれたとき、等しく寄りかかれるように。
生まれるときも、死ぬときも、彼らは一緒だから。
僕らの影は長短で歪だった。
道沿いに流れるこの土手で、笹の葉で作った船を一緒に追いかけた。
すぐに止まってしまうものだから、樹の枝で何度も軌道を直してくれた。
赤城山に咲く花火はここからだと、とても小さかった。
小さな浴衣を着た僕に、小さな花火を道端で咲かせてくれたこともあった。
正月になると、お気に入りのアニメキャラの凧は、一人じゃ飛ばせなかった。
じっとじっと待って、空へ飛んだら、急いで糸を握りしめた。
それは、すぐに落ちてしまうのだけれど。
一瞬の泳ぎを、2人は笑って眺めていた。
そう、一瞬。
僕らは僅かにズレながら生きている。
共に息を吸う時間は、ほんの一瞬。
しかし、その一瞬が永遠ともいえる。
景色はまだ変わらない。
夕日に伸びる影が、1つ欠けた今でも。
短かった方の影が、長くなった今でも。
いつか増えるだろう。
いつか消えるだろう。
いつか伸びるだろう。
いつか、変わり果てるだろう。
それでも、景色はまだ変わらない。
それが一瞬だったともしても、
それは永遠なのだ。
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