かけがえのない一瞬

• 11/22/19:31

なぜ極めてファッション性の低い作業着に、異常に興味を持ったのかというと…
「ファッションは、生き様だ！」と思ったからです。あ、今でも思っています。

高1、2の頃は、“女の子にモテるために”カッコいい服が欲しい！と思っていました。なので、BEAMSやらUnited Arrowsやら、流行りの服をよく追いかけました。でも、いくら雑誌の真似をしても、（年もあったのかもしれないけど）着せられている感が抜けない。どこか「お出かけ用」、つまり対外的な目的が強くて、さっぱり自分の内側に返って来なかったんです。
そんなとき、ふと、不思議に思ったんです。なんで映画とか、マンガに出てくる主人公たちって格好いいんだろうって。特に何かオシャレをしているわけじゃないのに、レザージャケット一枚羽織るだけで、様になる。汚いＴシャツに敗れたジーンズだけで十分に格好いい。それは、その衣服から、主人公達の性格や生活感が滲み出ているからじゃないのかなって思ったんです。バックボーンが見える。だから、格好いい。

ならば、自分のライフスタイルってどういうものだろう。勿論、まだ確固としたライフスタイルなんて持ち合わせていなかったけど、高2のとき、サッカー部を辞めた僕には、もう絵しか残ってなかった。おぼろげに、将来「絵」を描いている自分でありたいと思ったんです。

そう思ったら、ウェスタンショップの店頭でライトアップされていた「つなぎ」に一目惚れ。
13000円くらいだったかな。ワンウォッシュで、まだ全然色落ちもしていないものだったから、これからこのデニムに自分の歴史が刻まれていくのかと思うとドキドキした。それが下の画像。高3（17歳）のときの僕です（恥）


ん～…若いですね～。髪が真っ直ぐですね～。縮毛矯正かけてました（笑）くせ毛がコンプレックスだったなぁ。デニムの色がとても濃いですね～。10年前って、改めて数字にすると本当にビビる。。。
この間、僕は専門学校ではマンガ、大学では舞台美術をと、実に様々な絵を描いてきました。その作品と共に歩んでくれたのが、この「つなぎ」でした。裾にはねたアクリル、袖についた墨汁。まるで、相棒のような存在。衣服が日々を追うごとに「内側」に向いてくる。

さて！！
では、ここからは少し、これまでに描いてきた作品を、一部ご紹介して行きたいと思います。
当時の思い出も振り返りながら。



2004年　第3回児童センターミュージカル
『ハーメルン』　メルヘンの街並み

初めて舞台背景を手掛けたもので、幅8m・高さ3mという大きな絵。薄い布にペンキで描きました。舞台の奥行きを出すために二点透視法を採用。思えばこれが、僕が「舞台美術」に興味を持った最初のきっかけだったのもかしれません。



2004年　第68回四大学英語劇大会Grand Prize受賞作品
立教プロダクション『Barefoot In The Park』　
（1）舞台全景


（2）天窓の外のNew York街夜景

四大学英語劇大会という日本一の英語劇大会を経験した年。僕が担当したのは、天窓から見えるニューヨーク街の夜景。べニアに絵を描いて、窓をくりぬく。奥行きを出すために消失点をいくつ使ったかわかりません。色もこの写真だと分からないのですが、ビル群はかなり明るい色で塗られています。夜空に近い上の暗い部分から、街灯で照らされた下に向かって、明るくグラデーションをかけています。さらに、くりぬいた窓に裏から和紙を貼って、後ろに電球を仕込む。電球の数を操作することでビルの明かりを調節し、台本の中の時間帯を表現しました。 

2005年　第69回四大学英語劇大会Grand Prize受賞作品
立教プロダクション『Moon Over Buffalo』　
（1）舞台全景


（2）下手・玄関の窓からの風景


（3）劇中劇テラス


（4）テラスの窓の奥に見えるホテルの室内風景・線対称図

この頃になると、大きな絵を描くことにも慣れてきて、かなり短い作業時間で完成できるようになりました。相変わらず、バカでかいスペースに作業着姿で描いていたので、掃除のおばちゃんとかに目を付けられていましたけど（笑）そこでタバコ吸ったのアンタでしょ！って(>_<)

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10年前と同じものとは思えないくらい色落ちしているのがわかるでしょうか（笑）胸ポケットやベルトループ、襟などは自分でカスタマイズしたものです。本当に思い入れが強くて、一度近所の大学生にあげたのですが、今日が最後の着収めということで持ってきてもらいました(~_~;)

よし！これから旧つなぎに負けないくらい、カッコよさが滲み出てきますように。そして、そんな生き方を僕もしなくちゃなって思いました。旧つなぎ君、本当に今までありがとう<m(__)m>よく、やってくれたよ、本当に。
また、大きな絵が描きたいな。

さて、では、このまま旧つなぎ君は捨てられてしまうのか…。それはあまりに忍びない。
ということで、その近所の大学生に贈呈することにしました。彼も喜んでもらってくれました。
この10年の僕のことを、彼はずっと知ってくれているわけで、このつなぎへの想いも汲んでくれました。
ありがとう。


30代への着替え

新しい「つなぎ」を買った理由、そしてこんなに過去を振り返る理由。
それは、明らかに28になったことで自分の中で、時代の区切りを感じているからです。
別に数字に感化されたわけじゃなくて、環境・仕事・友だち・人生観…会社を辞めて2年、明らかに自分が変わってきているのがわかる。それを自覚したと思ったら、28歳を迎えた。
自分が積み重ねるものは、ある「志向性」によって決定する。故にそれは、ある関連性を持ったひとつの層となって表に現れる。たぶん、この10年はそんな一つの層として、僕の中にある。
でも、不思議なもので、今、僕が積み重ねようとしているものは、きっとこれまでの層の上には乗せられない。全く異質なものとして、手の中にある。

たぶんこれからの絵は、まったく新しいキャンバスに描かなくちゃいけないのだろうと思う。
どんな引力に引っ張られているのか、今はよくわからないけど、とりあえずのスタート。
新しい服に、着替えてみよう。

• 03/25/19:01
• ファッション
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